恵美須ヶ鼻造船所跡

恵美須ヶ鼻造船所跡と萩反射炉へ【山口県萩市の世界遺産】

投稿日:2020年12月20日 | 更新日:2023年9月28日

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山口県萩市にある越ケ浜駅(山陰本線)の散策編です。といっても、今回の散策は徒歩で回らず自転車を使っています。

東萩駅を出発して隣の越ケ浜駅に立ち寄って後、一番遠くにある目的地「笠山&明神池」へ。そこから引き返すときに立ち寄ったのが、今回の主役である恵美須ヶ鼻造船所跡萩反射炉というわけです。

最後に道の駅・萩しーまーとでごはんを食べたのですが、それは次回詳しく紹介します。では、出発しましょう!


海沿いを走ってサイクリング!

萩でサイクリング

私が訪れた明神池や恵美須ヶ鼻造船所跡、萩反射炉はすべて国道191号線を走っていたらアクセスできます。

それだけでも十分、海沿いのサイクリングは楽しめるのですが、もうちょっとマニアックな景色も見たくて、私はちょいちょい寄り道しました。

写真はどこか忘れたけど、橋の上から撮影したもの。船がたくさん止まってる景色は、埼玉じゃ見られないのでテンション上がりました。

萩サイクリングの所要時間※目安※


東萩駅周辺から出発した場合、一番遠くの明神池まで自転車で約30分かかります。明神池から笠山は、山道なので自転車で上るのは困難です。くわしくは笠山&明神池の苦労エピソードをご覧ください。

地図にある通り、恵美須ヶ鼻造船所跡と萩反射炉はご近所さんです。また、東萩駅~明神池の中間地点にあるので、どちらからも自転車で10~15分くらいでアクセスできます。

恵美須ヶ鼻造船所跡と越ケ浜駅の距離は、自転車で5分くらいです。自転車乗り慣れてる人ならもっと早く着くかもしれないので、あくまで目安としてください。




恵美須ヶ鼻造船所跡の景色に癒される

恵美須ヶ鼻造船所跡

そんなわけで、まずは恵美須ヶ鼻造船所跡へ。国道191号線沿いを走ってたら、こうした案内板が出てくるので迷わずに行けました。

恵美須ヶ鼻造船所跡

途中からは道というか、普通に浜辺を進んでいきます。入口に着いたら駐輪場があって、ガイドさんがいらっしゃいました。

恵美須ヶ鼻造船所跡…。漢字が並んでややこしいですが、読み方は「えびすがなはぞうせんじょあと」です。

ちなみに、「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録されているすごい場所でもあります。

恵美須ヶ鼻造船所跡

恵美須ヶ鼻造船所跡は、幕末の萩藩が洋式帆船を造船するために建てた造船所の跡地です。ペリー来航に衝撃を受けた江戸幕府が、海防強化せねばと大きな船造りを推進して、萩藩もその影響を受けたのでした。

造船所に恵美須ヶ鼻が選ばれたのは、この地がもともと武家下屋敷や埋め立て地だったので、造船に適していると考えられたためだそうです。

恵美須ヶ鼻造船所跡で有名なのはこちらの石造堤防ですが、近くには発掘調査を実施している遺構もあり、「この場所でこの船が造られた」というのを示すための縄による区切りがされていました。

ただ、遺構の平地が縄で区切りがされてる様子を見るだけでは何が何だか分からないかと思うので、ガイドさんと一緒に歩いて説明してもらうのが面白いかと思います。


恵美須ヶ鼻造船所跡

石造堤防から一望する萩の海も良い感じです。

堤防の先端にある大きな柱は船を止めるためのものだそうで、柱に縄をかけて大きな船をつなぎとめていたとのこと。

柱のてっぺんには明かりが灯る造りになっていて、思わず脳内で明かりが点いたきれいな景色を妄想してしまいました。

恵美須ヶ鼻造船所跡

石造堤防の横側を見ると、テトラポッドがたくさん積まれていました。その奥には堤防があり、さらにその先には…灯台?とにかく明かりを灯すものが建っているのが見えます。

世界遺産の上に立って静かな海をひとりきりで眺める。なんて贅沢な時間なんでしょうか!ありがたいことです。

恵美須ヶ鼻造船所跡

ふと足元を見ると、堤防の石に埋まるように木の柱を切ったような跡がありました。うん、この断面は折れたんじゃない、切ったですよね。

不思議だな~と思いガイドさんに訪ねたのですが、ガイドさんも「そんなのあったの!?」と驚いてらっしゃいました。もともとはどんな姿で何に使われていたのか、恵美須ヶ鼻造船所跡の解き明かされていない謎はまだまだあるみたいですね。


萩反射炉の迫力は写真じゃ伝わりにくい!

萩反射炉

次は萩反射炉です。こちらも「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録されています。

ちなみに反射炉ってのは、西洋で開発された金属溶解炉です。階段上って、公園みたいなところを歩くと…

萩反射炉

一番奥にドーンと構えるこの姿。高さ10.5メートルもあり、とても迫力があります。

でも、この姿をすべて写真におさめようとすると、その迫力が伝わらないジレンマ。一応縦向き写真も撮ったのですが、スクロールが大変だから横向きでお送りしてます。

萩反射炉

これだけ大きいのに、これでも反射炉の煙突にあたる一部分にすぎないというのですから驚きです。

上部の一部がレンガ積みなのを除き、ほとんどが安山岩積みとなっています。う~ん、どこがレンガなのかぱっと見じゃ分からないですね。

萩反射炉

反射炉は佐賀藩で最初に導入され、萩にできたのはペリー来航後です(ここでもペリーの影響が…!)。

やっぱり欧米列強のプレッシャーに危機感を抱いたのが導入のきっかけで、造船や鉄製の大砲を作るといった軍備力強化のために反射炉は用いられました。萩反射炉は近くに恵美須ヶ鼻造船所跡もありますからね。

萩反射炉と電車

萩反射炉の周りをぐるりと歩き、元の位置に戻って一息ついてたら、バックをいきなり電車が走ってビックリしました。地図を見返すと、山陰本線の線路がすぐそばにあることが分かります。

あわてて写真を撮ったから石碑と電車がかぶっちゃったけど、いいツーショットが撮れて良かったです。

萩反射炉は失敗作?

実はこの萩反射炉、実用炉ではなく試作的に作られたという見方が強くなっています。そして、技術面や費用面から本式の反射炉の建設は断念だれたのだそうです。

このことから「萩反射炉は失敗だった?」なんて見方もあるそうなのですが、そうとは言えません。なぜなら、萩で反射炉を実用化しようと試行錯誤した過程は、欧米列強と肩を並べるために必要ないことだから。日本の産業化・近代化の大事な歩みの一歩ですよね。

どんなことでも失敗はつきものです。そして、失敗だって貴重な財産です。だから萩反射炉も世界遺産に登録されているんでしょうね。なんか珍しく真面目に語っちゃった。

とまあこんな感じでふたつの世界遺産を巡ったのち、空腹を満たすために道の駅・萩しーまーとへ向かったのでした。続きは次回へ。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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